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トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
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目的地前の曲がり角、折れて目に入ったのは更地だった。
久方ぶりに、あの甘い香りのお茶を楽しもうかと思っていたのに、一体何があったのだろうか。
ここに来るまでの道のりでは以前と変わったところはなかったというのに。

見渡せば、周りの家屋も何件かが修理と建て直しの最中らしい事が見て取れた。
耳をそばだてなくても、かんかんと金槌をふるう音や鋸が板や角材を切り分ける音が響く。
意識を向き合わせれば確かに伝わる復興の響。

つい先日、エルフヘイムは大きな戦いを乗り切ったところだったのに
どうしてここだけが何時もどおりなんて錯覚してしまったのだろう

「ご無事でよかった。」

ファルスはほうと溜息を吐いて、だされた白磁のカップに手をつけた。
花に似た甘い香りと軽めの口当たり。ストレートで飲みやすい味わいの紅茶。
振舞われたのは以前と変わらぬ優しさと、穏やかな時間。

友人に贈ったレースの肩掛けの図案を考えてくれた事への礼を伝える。
喜んでくれた事を教えれば、じゃあまた何か考えてあげると返る。
今度はあなた用のものをと付け加えて。

二杯目のお茶をカップに注いでお喋りは一休み。
触れてよいものか迷いながらも今後どうするのかと、問うたファルスに。

「お店は駄目になってしまったけれどね、腕は無くさず居られたもの。」

思っていたより軽い口調、けれどどこか悲げな響で店が無くなった事を語る。
もうその事については割り切っていると感じられる、そんな穏やかさがあった。
店主の真意を測りかねて、少女は首をかしげる。

「少ししたら、この街を離れるかもしれないの。」

少しの間を置いて告げられた言葉。
何を言われたのか理解できずに、驚いて固まってしまったファルスの目の前で
あわてた様子もなく、あらあらと呟く店主の白い指先がゆらゆらと揺れる。

「そんなにびっくりする事かしら?」

ファルスはとりあえずカップをソーサーに戻して、一呼吸おいた。
店主は静かに続く言葉を待つ。

「そうじゃな、驚いた。」

また店をはじめるものかと思っていたと告げれば、
そうしても良かったのだけれどと困ったような笑顔。

「でもね、優先したいことが出来たから。」

いつもの穏やかな笑顔が照れた頬の朱に彩られ。
意外だと思うのも束の間、キッと表情が引き締まる。

「店をわが子のように愛でておったのにのう。それよりも優先したいとは……よほどの事じゃろうのう」

「そうね……返したいのよ、してもらった事をね。」

そのための力を手に入れたから、そうしたいの。
柄ではないと思うけれど、そう告げる店主の瞳は真剣で、まっすぐファルスの瞳を射抜く。

「……そうじゃな、店主殿が思うとおりにされるのが良いと思うのじゃ。」

目蓋を伏せて頷くファルスの頬は正面から見つめられた照れからか、微かに紅い。

「ええ、そうするわ。」

幾分か冷えた琥珀の液体に口付けながら、店主の朱の唇が微笑む。

「そうそう、もう店主ではないから、名前で呼んでね。」

付け加えられたその言葉に、ファルスは静かに頷いた。
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