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トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
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いつもよりはるかに薄着で飾り気のない服装
いっそ、何も纏わないこの身だけを友連れに出かけようと思った


まあ    さすがに出来ないこともある

未だ冷たい水に浮かぶ身を、無理やり沈めて出発した

一度潜ってしまえば、体を水中に置いたままにするのは難しくない
光のない水中は仄暗い
けれど時々光の差す所がある
それはおそらく天蓋の下に出られる道のひとつ

ある程度は選べるのかとぼんやり思った



肺からこぼれた息が奏でる音を耳にしながら
一つ一つ道と分からぬ道をたどってゆく
少し息苦しいけれどまだ先に進むことは出来そうで
あと少し、あと少し、それを何度も繰り返し
その先を手繰り寄せようと足掻きつづける


奪われるのは熱、研ぎ澄まされるのは思考

いや、思考は曖昧になってゆく
自ら内側へと沈んでゆく、それはこの水底よりなお深い自我の海
現実と頭の中の出来事が溶け合い、境目をなくしてゆく

苦しいのは、呼吸なのか心なのか
冷えているのは、熱奪われた身体か冴え渡る思考か

どこに居ても苦しい    それこそ『何処』に居ても

呼吸が生きる最低限の行為だとするなら
その最低限すら満足にならないわが身が厭わしい

不意に身体から力が抜ける
ああ限界かと思考の片隅で告げる冷静な自我
その感想がいやに滑稽で
ひときわ大きな音が肺からこぼれていった


届かせたいとこの手が求めたものはなんだったか
『それ』が多すぎるのか、曖昧すぎるのか
もう自分でも分からくなる


光の糸に引き上げられる意識
瞬きの間ほど意識を飛ばしていたのだろう
いや  今なおばらばらになってしまいそうになる意識を無理やり束ねて水面を求める
これ以上はさすがに     本当に溺れてしまうと

伸ばした指先に一瞬の抵抗感
それを破って、冷ややかな外の空気を感じた

思っていたよりも間近にあった空に助けられて息を継ぐ
水面に身を横たえて、荒い息を整える
酸素を取り入れるほどしっかりしてくる意識に
己がどれほど長い間水中に没していたかを知った

大きく息を吐いて、見上げるのはまばゆい偽天
惹きつけるくせに触れさせてくれぬその姿
優しくも酷薄なその様はとうの昔になくなったものを思い出させた

振ってくる天蓋の光に視界を奪われたまま、再度水底にもぐる
水中から見るそれなら、胸を焼くその光が和らぐ事を望んで

未だ苦しい 胸の内
吐けぬ心を 抱えたまま
いっそこのまま 溺れてしまえ

そんな風に自らを嗤うことさえ、苦しさを和らげることはできなかった

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