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トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
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ゆうやけのそらは、すごくきれい

少女――ファルス・ランディールはそう呟いて目を閉じた

かねてからそう思ってはいたけれど、今日の空はきっと一生忘れられなくなるだろう
まぶたを透かす赤い光、風に揺れる草葉の囁き、手のひらに感じる乾いた土の温かさ、焼けるような痛み
そのすべてが刻まれていくの感じながら、少女は横たえた体から力を抜いた

眠りに落ちる前の習慣のように、大きくひとつ息を吐いて


目を覚まして最初に目に入ったのは歪んだ天井だった
ぼやけた視界に知らず泣いていたのだと気づく

「夢を見る……ということは、まだ忘れていないということなのかしらね。」

幼い自分が体験したはずの記憶
それはどこか縁遠い感覚とともに、夢として再来する

「原因と過程を飛ばして結果だけ思い出すあたり、抜けているのか何なのか……。」

体を起こして目じりを拭う
軽く息を吸って、肺が空になるまで細く吐き出す
思考も同時に空にして、気分を切り替える
あの夢を見た後は少しだけ沈んでしまうから

部屋の中はまだ薄暗い
夜が明け始めたばかりなのかもしれない
ベッドを降りて、カーテンと窓を開いて部屋の中の空気を入れ替える
薄明かりの中、木々を行き交う鳥たちの声はもう騒がしかった

「今日はいい天気になりそうじゃのう。」

雲のない空を眺めて一言
口調さえも変えてしまえば、『いつも』の自分に切り替わっている
先日の皆との会話を思い出して少し気分が浮上してくる

「まだ早い時間じゃが、手土産の調達に行くとするかのう。」

マキーナの提案で今日は花見が開かれることになっている、朝市で何か見繕ってこよう
そうすればきっと皆で楽しい時間をすごす、その手助けができるはずだから

「お酒は、アウト……ああ、果実ならみんなで食べられるかな。」

指を折りながら候補を挙げているうちに口調は素に戻ってしまっていた
けれど、もうそんなに沈んだ気分ではない

顔を洗って歯を磨き口をゆすいで髪をとかす
ついでに括ろうかと思ったが、自分がそのことに関して不器用なことを思い出してやめた
手早く寝間儀を脱ぎ、ベッドの上に放り投げる
いつもの服に着替えて、帯飾りだけ一つ増やした。お祭りは着飾るものだから

ものの数分で身支度を整え終える

買い物用に小さめの篭を背負おうとして髪が引っかかりそうになった
長い髪だから仕方ないのだけれど痛いのも嫌で、仕方なく右肩から前に髪を流す
飾り紐で大雑把に結わえてから、篭を背負いなおす
絡まる心配はもうなさそうだった


デンメルグの玄関ホールを抜けて外へと出る
とたんに振ってくる日の光
まだ少し弱いがもう早朝のものではない
しっかりとした朝の気配を感じながら市へと歩を進める

どんな果物が旬だっただろうか、そんなことを考えながら
聞こえる喧騒に誘われて少しだけ歩調を速めた

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