忍者ブログ
トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

とりあえずひと段落
PR
くるるものとはしりながら


まだまだ新年の連れまわし&挨拶状書き中
一段楽したけれどまだまだ熱孕む喧騒の中
金の光と夜の闇、紫煙の中降る雪の白
この対比は何度も見たことがある   鏡の中で、瞳の中で

射干玉の黒を映した長い髪と、月であり太陽であった金の瞳
雪白と称された伸ばしたままの白髪、宵闇とも菫とも評された紫暗の瞳

今はもう並ぶ事がない色が懐かしくて、口元が緩む
決して優しい記憶でなく、かといって辛い記憶ではない
強いて名前を付けるならば何処までもかなしい記憶

そのせいだろうか、いつもならもっと逸るはずの心は大人しい
憂うほどではないのだけれど何だか感傷的で
それが疎ましいのかもしれない

周りで交わされる笑い声がどこか遠くて
取り残されたような疎外感が胸に湧く
折角のお祭りの日なんだから楽しまないと
そんな義務感のような思いに、また苦笑が零れた
指の腹で紙に触れ、そのままスッと横に滑らせる
たわんだ紙の端に親指を指し入れて頁を捲れば
しゅるりと衣擦れにも似た音がたつ

都市を移動するたびに、本を買い足しては手放すけれど
この本だけはいつも荷物の中

語り部たちの追想録
通りを照らす淡い橙を映して輝く、黄金の髪した騎士様にまたと手を振って
先程までの慌ただしくも充実した時間を噛みしめながら
反対向きにゆっくりと歩き出す

つい先ほどまでの胸踊る高揚感が抜け切らない
大地のような温かみのある穏やかな青年との舞が思った以上に評価の良かった事も
誘い誘われて過ごした時間に、思い出が織りあげられ、胸の内に確かに残っている幸せも
祭りの催しが一段落しての夕方過ぎ、天蓋の日が落ちたというのに熱気は収まるところを知らず
これからが本番と言わんばかりに、思い思いの仮装に身を窶した人々が大通りをすれ違う

見知った顔の月兎さんが誰かと談笑しながら視界の端を横切ったと思えば
暁色の天女様が楽しいのを全身で表すような、軽やかな足取りですれ違う
遠くの白いジェナスさんの口の中に知り合いの面影を見た気がして追う様に進路を変え
その先で見かけた狐さんの、もふもふ尻尾が揺れる様に頬を緩ませる

なんて楽しいんだろうか
今日ばかりは羽目を外して騒ぎあう
そんな、非日常の中でしか味わえない不思議な高揚感

昼間に誘ったお菓子の女王様は何処だろうかと辺りを見渡していれば
逆に誘ってくれた黒髪の少女が渡し忘れたとお菓子をくれる
そういえば、紫の瞳の兎さんからもお菓子を貰っていた事を思い出し
くうと小さくお腹が鳴って微笑みに似た苦笑が零れる

満ちぬお腹のために美味しいものの香りでいっぱいの屋台通に足を向け
屋台の一つで買い求めたのはさっくり焼き上げられたワッフル
団長がグルメキングで披露したレシピを見ていて食べたくなったのは自分だけの秘密
同じものでないことは承知しているから、是非今度教わって作ってみようと決意した

夜も深くなり、輝くランプの瞬きの合間に濃い闇が満ちてゆくけれど
まだまだお祭の気配は落ち着かない、
酒場から漏れる笑い声に混じって聞こえるのは誰の歌声だろうか
誘われるまま再度歩き出した

響く歌に囁くように声を合わせ、ふらり大通りから道の集まる広場にでる
薄青抱く白い鳥さんの翼のない背が丁度、向かい側の通りに消えてゆく
彼女とダンスの誘いが被ったことに、少し面食らったのも良い思い出だろう

見送って視線を彷徨わせれば、最後のダンスの時間に探した背中がもう一つ
淡緑溶ける白い背は、本をこよなく愛する彼のもの
異国風の服の裾が翻って行く先は、また違った通りの先

この宴の時がまだ終わらぬようにと願うのは、きっと自分の為だけではない
誰も彼も皆笑顔で、思い思いにこの宴を楽しんでいる
それがとても嬉しくて、楽しいから、自然と足取りが軽くなる

はやる心を映して歌う足音伴奏に、残った一つの通りに踏み込んだ



どうぞこの夜が、皆の幸せで満たされますように
≪ 前のページ   |HOME|   次のページ ≫
material by Sky Ruins  /  ACROSS+
忍者ブログ [PR]
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
アド