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トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
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紫の香る花畑に横たわったまま、駆け足で去ってゆく夜を見送る
瞼が重いのは眠りの淵がすぐそこまでやって来ているから
不思議としか表現のしようの無い花の香がそれを助けている

うつらうつらと揺らぐ意識にあの日の記憶が浮かんでは消える
川の上にできる波紋のように、留める事はできない
歯痒いような、不思議な心地

走る船、追い追われ、対峙したほんの僅かな時間に起こった逡巡と決意
同じように愛し、好いたが故に溢れた思い
だからこそ彼女を射抜いたであろう言葉

ラベンダーの色宿した彼女の願い
桜色した少女へと投げかけられたそれ

どうぞ叶いますようにと願った先、甘い香りのする夢の中
紫の瞳の彼女が微笑んだ気がした

壁越しの気配に、意識が浮上する
膝に埋めていた額を上げ、耳を澄ませば軋む床板とその上を行く二つの靴音
隣の部屋の住人がどうやらご帰還あそばしたらしい

何度か顔を合わせたこともあり、気の良い御仁だと知っているのだけれど
致命的なまでに生活時間が合わないのが難点だという結論は、今のところ覆されていない
就寝と起床が一定でない私に負けず劣らず、彼の生活も乱れているようだった

タイミング悪く、今のように寝入り端に目が覚めてしまえば、
おそらくは空の端が白むまでもう眠ることは出来ないだろう

緑多きエルフヘイムや水の都アクエリオに居た頃ならば気まぐれに夜歩きもしたが
紫煙に霞むこの街は、宵過ぎれば一人歩きには向かない環境のようで
出歩いてトラブルに巻き込まれるよりはと、外出を控えていた

溜め息ついてベッドを離れ、窓目指して暗い室内を横切る

寝巻きがわりの単だけではもう肌寒い季節
窓際に立てば肩どころか背筋が震えるほど
吐く息が見えるほどではないから風邪は引かぬだろうと高をくくって窓を開け放てば
冷えた空気が室内に流れ込む

冬に近づきゆく寒さはどこか懐かしい感覚
生まれは雪深い森のそばだったから
深々と静かに冷え往く空気は心地よい
寒くないかと言われれば寒いのだけれど、その寒さが好きだった

窓枠に腰掛けて、霞む夜空を見上げれば瞬く星の光
夏よりも輝きを増したように見えるそれも、今は紫煙に霞んでか精彩を欠くように感じられた

耳をくすぐる、規則正しく響く音
時を告げる時計塔、それを動かすドロークロノス
紫煙とこの音、そして「世界の瞳」はこのラッドシティの象徴のようだ
見慣れないものの多い街、どうしてだか不安と好奇心とを掻き立てられる
それがこの都市の印象

他の都市に比べて穏やかでない喧騒を感じることも多いけれど
今日は殊更、宴の前夜ということもあって熱を孕んでいる様な気さえする

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