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トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
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東の空が白むのを見ながら
ファルスは琵琶を爪弾いた


背後注釈
一応某依頼で歌ったものの全文になるはずのものです

とはいえこれを歌っている時点では依頼前なので
依頼当日はアナザーストーリーを歌っている可能性が高いです

どんな感じの歌を意図していたのかの参考までにどうぞ

ついでに内容への突っ込みはいくらでもどうぞ

 


今は昔の物語 その始まりは些細な噂
森のはずれのお屋敷の話

小鳥の遊び場のひとつだった その荒れ果てたそのお屋敷に
一人の少女が住みはじめたのだと
小鳥の友が言いました

黒一色の服を着た 黒い髪のその少女
その身にまとう闇色のように とても冷たい少女だと
もう一羽が続けます

小鳥の友達は口々に 少女のうわさを囀りました

小鳥はひどく気になって
小鳥は独り飛びました
街のはずれのお屋敷目指して

期待と不安を胸に抱いて
降り立ったのは庭の一角 小さな東屋の中
屋敷に赴くその前に 羽を休めに寄ったつもりでした

けれど 迎えたのは金の瞳を持つ少女
午後の日の光のように柔らかなそのまなざしが 小鳥の姿をとらえます

その姿は闇のように黒く 話に聞いた少女そのものでした
意図せぬ遭遇に何も言えない小鳥を見つめ 少女がそっと問いかけます

『あなたは誰?』

『……私はただの小鳥です』

思っていたより暖かな響きに 小鳥はそう答えます
続けて小鳥は問いました

『あなたはどうして悲しそうなの?』

少女の瞳に憂いがあることに 小鳥は気づいていたのです
その言葉を受けて 少女は困ったように微笑みました
次いで首を左右に振って その問いには答えません

『じゃあ、あなたはどうしてここに来たの?』

なおも小鳥はたずねます
訊きたい事は山ほどあったから いくつも幾度も尋ねました

『あなたは質問してばかりね』

困ったような少女の顔に
小鳥はようやく質問をやめました

それきり途切れた会話
沈黙は重く 場を満たしました
溜息を吐いて 小鳥は歌い始めました


この屋敷の噂を ここに住む少女の噂を

自分の見たもの見たことを噂と比べて語ります 

この屋敷の事を ここに住む少女の事を


少女は小さく噴出して 大きな声で笑いました
あなたの歌は面白いわ だからもっと歌って欲しい

少女の願いに小鳥は応え 思いつくままに歌いました
森のこと 友達のこと 毎日の暮らしのこと

その日だけでなく その次の日も

それはとても楽しくて
小鳥は友達と遊ぶことも忘れ 少女の元に通いました
幸せで ただ共に笑うことが幸せで




何の前触れもなく少女はある日姿を消して 小鳥は旅に出かけます
消えてしまった想い人 歌を届ける相手を探して

永い長い旅路の末 小鳥は少女の噂を聞きます
黒一色の服を着た黒い髪の少女の話

少女は大人になっていました
けれど少女のままでした

二人が過ごしたお屋敷よりも もっと大きなお屋敷
そこが少女のいる場所で
小鳥が飛んでいくにはとても大変な場所でした

小鳥は懸命に羽ばたきます
小さな窓からのぞくその姿 想い人の元を目指して
柔らかな光のこぼれる その窓に身を寄せました

迎えたのは金の瞳を持つ少女
月のように輝く瞳に 小鳥の姿が映ります

小鳥は窓辺にたたずんで 一夜の宿を請いました
『どうか一晩、休ませて頂けませんか』

少女は微笑み言いました
『どうぞ、あなたが望むなら』

こちらへどうぞと静かな声が 小鳥を優しく誘います
声の響きはなお穏やかに けれどその悲しみは深くなっていました

暖かい部屋の中 少女のその傍らへ

小鳥は歌い語りました
旅路の途中にあったこと 今まで見てきた世界のことを
小鳥の感じたその事柄を

『私はただの小鳥だから あなたに何もあげられない』

旅の途中で実感したそれは小鳥の素直な気持ちでした
小鳥は少女に会いたくて以前のように笑い合いたくて ここまで飛んできたのです

けれどその旅路の中で知ってしまってもいたのです
小鳥が少女を好きでいれば 少女が責められることを

『あなたがどんな小鳥でも 私は何も受け取らないわ』

少女の言葉は小鳥の胸を刺しました
旅路の途中に知りえた事実 そのものよりも深く深く
小鳥は俯いて瞳を閉じ あふれそうになる涙をこらえました

少女は小鳥のほほをなで
躊躇いがちに口を開きました

『私がいちばん欲しいのは、ただの小鳥であるあなたなの』

少女の言葉がこぼれても 小鳥はしばらく俯いたままでした

少女の唇がその額に降ってきて始めて顔を上げることができました
金色の瞳と目が合いました 太陽でも月でもない少女の瞳と



明け方の空気の中
小鳥は歌い語ります
ここまで旅したその理由を

『あなたが私とであった時 とびきりの笑顔をくれたこと
 それが 私の恋した理由』

少女は応えて囁きました

『私とあなたがであった時 素敵な歌を教えてくれた
 それが あなたに恋した理由』

『いつでもあなたが傍らに それだけで笑っていられる』

小鳥は少女に返します

『いつでも私は傍らに 想いを歌い続けます』



『ただ傍にいてくれるだけで 幸せなの』

呟いた少女のほほを流れた雫を
小鳥はくちばしでそっとぬぐいました

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