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トミーウォーカー運営PBW『エンドブレイカー!』、その登録キャラ『ファルス・ランディール』のキャラブログ
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「ファルス様、顔がにやけておいでですよ。」

テーブルの上に音もなく差し出されたカップ、声に諌める様な響きはない。
そんな顔をしていただろうかと、口元に手を添え、視線だけで声の主を見やる。
我が唯一の侍女殿は二人分のカップにお茶を注いでから、向かいに置かれた椅子に腰掛ける。

「レヴィナス夫人に見つかれば、からかわれる程には。」

長い付き合いからこちらの意を察して返答した彼女は、かすかに微笑んでいた。
おばさまに見つかればと添える辺りが、彼女らしいと思う。
こちらが口の端を下げて見せれば、彼女の唇の描く弧が深くなった。

「口元だけでなく、頬が緩んでおいででした。珍しい事も在るものですね。」

私はいつもそんな仏頂面だったろうかと心の内で首をかしげる。
ここ最近の事を思い返しても、特にそんな覚えはない。

けれど、ふと思い至った。ここ何年かは一年のほとんどを家の外で過ごしている。
彼女の中の笑わない私は、過去の投影に他ならないと。
幼く余裕の無かったあの頃は確かに笑う事が少なかった。


「そのお手紙はどなたへです。」

お一人では無い様ですけれどと、彼女が指した先には何枚かの封筒と便箋の束。
あちらのご友人方宛てでしょうか、それとも、義兄上宛にですかと尋ねる彼女。
答える代わりに気になるのと問えば、一呼吸程の間と【いいえ】との返答。

けれど、それはきっと肯定。

あちらの友人達にと答えなおして、ほんの少し不満顔の侍女殿の頭をそっと撫でる。
自分よりも背の高い彼女の頭を撫でるには少々苦労するけれど。

視線落とせば、机の上には書きかけの手紙。
いつもの封筒と便箋はアクエリオに置いてきてしまったので、家にあった仕事用のもの。
書状として使うための透かしが入った便箋は、普段使いにはどうかと思うのだけれど。
もう数日もすれば戻る身としては、新しく便箋を買う暇がなかったのだからしょうがないと自身に言い訳する。 

何処に居てもいいと思っているのに、あちらに帰るのが待ち遠しいなんて。
随分変わったものだと、心中ひとりごつと共に苦笑いが漏れた。
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